2024年9月4日付東京新聞・埼玉版で第7回昭和歌謡紅白歌合戦が取り上げられました。
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まだ年末ではないけれど、「紅白歌合戦」。生バンドの演奏つきで、昭和の歌謡曲だけをやります-。埼玉県蕨市で、そんなユニークなイベントが6年前から開かれている。参加するのは子どもからお年寄りまで、オーディションを通過した歌声自慢の市民たち。今年は今月8日に蕨市民会館で開く。毎年立ち見が出るほどの人気。その魅力とは。(出田阿生)
蕨市では9年前から市民音楽祭を毎年開催しており、歌合戦はそのメインイベントとして4回目から始まった。発案者は、市内でスポーツフラッグ制作会社「染太郎」を営む影山洋さん(68)。「市民参加型にしたいと考えた。音楽の専門技術がなくても、歌謡曲なら誰でも口ずさめる。なかでも昭和の歌謡曲は、ご高齢の、人生の先輩たちに歌ってもらえるから」
名付けて「昭和歌謡紅白歌合戦」。大みそかに放映される「NHK紅白歌合戦」さながら、出場者は紅組と白組に分かれて歌を披露する。「やってみたら想像以上の人気。小学生の女の子がキャンディーズを歌って踊ったり、年配の方が『青い山脈』をうれしそうに歌ったり…」と影山さん。初回は180席ほどの施設で催したが、あまりの熱気に2回目から市民会館の大ホールに会場を移した。700人収容だが、毎回大盛況だという。
バンドの生演奏がつくのも大きな魅力だ。歌い手の速度に合わせて緩急をつけ、声の高さに合わせて曲のキーを変える。歌合戦の時だけ結成されるバンド「明星楽団」は、ギター担当の影山さんのほか、アマチュア演奏家やプロの音楽家で構成する。
歴代のちらしやポスターも「昭和」風だ
今年は小学3年から87歳まで、オーディションを勝ち抜いた32組が参加予定。影山さんがデザインを担当したポスターは、朝ドラ「ブギウギ」の主人公のモデルとなった笠置シヅ子さんをイメージした。もちろん、演目には「東京ブギウギ」も。
ほかに八代亜紀さんの名曲「舟唄」をはじめ、「ルージュの伝言」「ワインレッドの心」「高原列車は行く」「恋のメキシカンロック」「キッスは目にして」と懐メロ満載だ。自身も仲間とロックバンドを続ける影山さんは、高齢者施設で演奏した時に、聴く人が涙を流すのを見て胸を打たれたという。「昭和歌謡は若者にも再評価されているけれど、年配の方に、ぜひ楽しんでほしい」
8日正午~午後4時、蕨市民会館コンクレレホールで。昭和の映画ポスターなどを展示するコーナーも。出入り自由、入場無料。問い合わせは、蕨市民音楽祭実行委員会事務局(市生涯学習スポーツ課)=電048(433)7729=へ。