かつて2002年秋。2002FIFAサッカーワールドカップ日韓大会が6月に開かれた。初戦ベルギー戦(6月4日埼玉スタジアム2002)2-2で引き分け。第2戦ロシア戦(6月9日横浜国際総合競技場)1-0でワールドカップ初勝利、続く第3戦チュニジア戦(6月14日大阪・長居スタジアム)も2-0で勝利し、グループHを1位で通過した。日本中が盛り上がり、試合の時間は街から人が消えた。決勝トーナメントに進んだ日本代表は6月18日のトルコ戦に0-1で敗れ、ベスト16で終わった。共同開催国の韓国はベスト4までいく。
そんな状況の中で、「もっと幕と旗で世界を圧倒しよう!! 世界に日本のサポーターの文化と技をみせつけよう」をスローガンに、一つのサイトが生まれた。JSUPPORTER.COMである。有限会社染太郎にスポンサーとなってもらい、その業務にとらわれず、伝統的・古典的な應援團的応援から、フーリガンとも違う新しい日本的で、ちょっとロックな応援を定着させることをめざした。発信団体を『山猫曲技団 ─ WEILD CAT CIRCUS』とした。
サイト開設当時の口上を再録します。
もっと幕と旗で世界を圧倒しよう!! 世界に日本のサポーターの文化と技をみせつけよう
ある秋の晩、KとMとDが埼玉県某所に集まったことからそれは始まった。
「とりあえず、かろうじてでも何とか食べていけている訳で。食べるために働くだけじゃ何のため生きているのかわからない」
「あと何年くらい、猶予があるかというと、あまり無いんだよね。60過ぎてもガンガンいくっていうのはなかなかむずかしいだろうし。そうすると55までと、区切るとあっという間だぜ」
「何にしても、やり残すことはしないで。ただ、自分のためだけっていうんじゃなくって、少しは世の中のためになるみたいな。」
「ボランティア?」
「いや、そうじゃなくて。日本的には、ボランティアっていうと、タダ働きと同意語だろ。滅私奉公的なものではなくて、ちゃんと対価を得つつ、ほんのちょっと世の中に役立つかなあ的な。だからといって営利目的だけではなくて」
「そういう、いわば文化発信基地的なものが出来たらいいなと」
「とりあえず、WEBから始めていくっていうのは?」
「そう思う」
「そういえば、最近よくある話なんだけど、競艇とかサッカーとかの応援の幕とかを作りたいっていう人から聞かれるんだよ。どんな内容にしたらいいかとか、どんなデザインにしたらいいかとか。」
「応援したいっていう気持ちはあるけど、どこから手をつけたらいいかわからないって」
「それに応えてあげて、いろんなデザインを見せてあげるっていうのは?」
「いいんじゃない。」
「ワールドカップがあったわけだけど、なんていうのかなあ、日本の場合は。例えば日本戦のときは、道路から街から人がいなくなっちゃったわけじゃない。みんなTV見てるわけさ。そりゃ僕らもみたけどさ。みんな家で見てる。パブリックビューイングだっけ? あれだって、はがき出して抽選で当たった人だけが見るみたいなことあったじゃない。なんだかなあ。韓国の場合は、街が人であふれ返ったわけじゃない。一人ひとりの持っているエネルギーっていうものがさ、日本人からなくなっちゃったみたいな感じがするんだよ、ちょっとエラそーに言うとさ。」
「管理する側、され慣れている側って話?」
「例のはがき抽選のことは・・・ 一部の・・・」
「いや、わかっている。管理云々のムズカシイことは置いておいて、要は、自分の目で見て、自分の頭で考えて、自分の足で動くためのとっかかりになったらいいなと。」
「そういう、きっかけになるようなサイトにしたらいいなと」「サポーターをサポートするということで。そこからいろんなことを発信したり、受け取ったりできればいいんじゃない」
「たしかに、同じ応援しているチームのサポーター間では交流があっても、それ以外のサポーター間の交流とかは、あまり聞かないですよね」
「そりゃ、ある意味、敵味方みたいなとこあるからね。べつに交流っていうのは、仲良くするってこととは限らないから。」
「そうそう。戦争しても、何してもどうしても叩き潰せないから、しぶしぶ握手するってことあるじゃない。仕方が無いから妥協点を探るっていう」
「外交交渉ですか? このサイトは?(笑)」
「いいんだよ、何でも。敵のノウハウから学ぶってこともあるし」